その成長株、もう成長止まってない?

成長鈍化ピークアウト判定

式としきい値

判定エンジン v1.0(見直し 2026-08-27)。ここに書いていない計算はしていません。

まず、このツールが見ていないもの

チャート、需給、業界シェア、単価と数量の内訳、解約率、受注残、為替、金利。 どれも成長株の伸びを左右しますが、このツールは扱いません。 扱っているのは、決算短信の1ページ目に載っている売上高・営業利益・会社予想と、 証券アプリに出ている時価総額だけです。 その範囲でしか判定していない、というのがこのページの一番大事な情報です。

計算の骨格

増収率の水準ではなく、増収率の変化を見ます。

増収率            g(t) = (売上高(t) − 売上高(t−1)) ÷ 売上高(t−1)
増収率の変化      a(t) = g(t) − g(t−1)          ← このツールの中心(2階差分)
営業利益率        m(t) = 営業利益(t) ÷ 売上高(t)
営業利益の伸び    gp(t) = (営業利益(t) − 営業利益(t−1)) ÷ 営業利益(t−1)

PSR              = 時価総額 ÷ 直近の売上高
PER              = 時価総額 ÷ 当期純利益
PEG              = PER ÷ 成長率(%)
必要な成長率      = PER ÷ 1.5 ÷ 100
ズレ              = 必要な成長率 − 実績の成長率

前の期の売上高が 0 以下だと比率になりません。営業利益の伸びも、前の期が赤字なら出しません。 出せないものは出さず、その軸は点数の分母からも外します(0点として数えません)。

① 借りてきた線

外の世界で通っている目安。

PEG の目安1.5 / 2 / 3

PEG = PER ÷ 成長率(%)。Peter Lynch が広めた「PEG=1 なら妥当」という見かたが出発点です。実務では成長株に 1.5 前後まで許容されることが多いので、このツールは正当化の基準を 1.5 に置き、2 超で気になる・3 超で強い注意としています。PEG=1 が正しい線だと決まっているわけではありません。

PSR の見かた5倍 / 10倍

利益が出ていない成長企業でよく使われる指標です。「PSR 20倍以上は危険」という言い方が1990年代から知られていますが、業種と金利水準で妥当な水準は大きく動きます。このツールでは、PERが出せないときの代わりとして使い、減速と重なったときだけ強い注意にします。

② このツールが置いた線

このツールが置いただけの線です。根拠のある定説ではありません。

増収率の低下幅3pt / 10pt

この幅より大きく増収率が落ちたら、気になる/強い注意。ポイント差で見ているので、成長率の水準が高い会社ほど引っかかりやすくなります。だから次の行の緩和を入れています。

まだ高成長とみなす水準20%

減速幅が大きくても、直近の増収率がこの水準以上なら「強い注意」を1段下げます。60%→30% と 12%→−2% を同じ扱いにしないためです。

営業利益率の低下幅2pt / 5pt

売上は伸びていても、利益率を落としながらの伸びは「成長の質」が落ちている形です。

利益の伸びが売上の伸びを下回る幅5pt

伸ばすほど薄くなっているかを見ます。

期待と実績のズレ10pt / 25pt

株価が求めている成長率が、実績をこれだけ上回っていたら、気になる/強い注意。

会社予想と実績の差−3pt / −10pt / +10pt

下振れ側は「会社も減速を織り込んでいる」、上振れ側は「回復を前提にした予想=未達リスク」として、どちらも灯をつけます。

総合判定の線25 / 55

重みつき点数(0〜100)の線です。確率でも損失率でもありません。

減速の性質の線3 以上 / 0 以下

積み上げ点がこの線を超えたら構造的/下回ったら一時的。あいだは「どちらとも言えない」です。

4つの軸

重みの合計は10。判定できない軸は分母から外します。

増収率の変化(加速しているか減速しているか)重み 3

売上の伸びそのものではなく、伸びの「変化」はどちらを向いているか

成長の質(営業利益率と、利益と売上の伸びの差)重み 2

売上は伸びているとして、その伸びは利益率を落としながらの伸びではないか

株価が織り込んでいる期待とのミスマッチ重み 3

今の株価が正当化されるのに必要な成長率と、実際の成長率はどれだけ離れているか

会社予想との整合重み 2

減速を、会社自身がすでに予想に織り込んでいるか

会社の性質による格下げ

判定を消さずに1段下げて、理由を必ず書きます。

一般(上記のどれにも当てはまらない)

格下げはしません。4つの軸をそのまま読みます。

景気循環型(半導体・海運・素材・機械・自動車など)

循環する業種では、増収率も利益率も数年周期で上下するのが普通です。ピークからの減速がそのまま「成長企業の終わり」を意味しないので、増収の加速度と成長の質は「強い注意」まで上げず「気になる」で止めます。ただし、循環のピークで高いPERがついている状態はこのツールがいちばん警告したい形でもあるので、期待とのズレは格下げしません。

下げる軸:増収の加速度・成長の質

特需・大型案件の反動局面(前年に一過性の上振れがあった)

前年が一過性で膨らんでいると、翌年は何もしなくても増収率が落ちます。増収の加速度と会社予想は「気になる」で止めます。反動が一巡した後の期で、もう一度見てください。

下げる軸:増収の加速度・会社予想

上場間もない小型成長株(売上の基数が小さい)

基数が小さいと増収率は 80% → 50% のように大きく振れます。ポイント数で見た減速幅が大きく出るので、増収の加速度と成長の質は「気になる」で止めます。

下げる軸:増収の加速度・成長の質

金融・REIT(銀行・保険・証券・リース・不動産投資法人)

これらの業種では「売上高」に相当するものが経常収益や賃料収入で、伸びの意味も PER・PSR の見かたも一般事業会社と違います。このツールの前提(売上が伸び、その伸びの期待が PER/PSR に乗っている)が当てはまらないので、総合判定は出しません。個別の数字は参考として表示します。

下げる軸:増収の加速度・成長の質・期待とのズレ・会社予想

なぜ「鈍化=売り」と書かないのか

増収率が落ちる理由は、成長の終わりだけではありません。 前年に大型案件があった、コロナ期の特需の反動が出た、M&Aで一時的に売上が膨らんでいた、 決算期や会計基準が変わった、あるいは単純に季節性——どれも数字の上では同じ「減速」に見えます。

だからこのツールは、減速の大きさで結論を出さず、続いているかを別に判定します。 2期続けて減速しているか、営業利益率も同じ方向を向いているか、 会社自身が予想に織り込んでいるか、一過性の反動の申告があるか。 この4点を積み上げて、一時的/どちらとも言えない/構造的に分けます。

そして、構造的と出ても「売り」とは書きません。 このツールが見ているのはあなたが入力した過去の数字だけで、 この先どうなるかについては何も言えないからです。 出しているのは「決算資料のどこを読み直すか」の指し先です。

判定する
これは相場や業績の予測ではなく、過去の業績数値の整理です。 ここで出しているのは、あなたが入力した売上高・営業利益・時価総額を決められた式に入れた結果だけです。 増収率が落ちたからといって、その会社の成長が終わったことにはなりません。 季節要因、大型案件の剥落、前年の特需の反動、先行投資による一時的な利益率の低下、 会計基準の変更——まったく正常な理由でも、増収率も利益率も落ちます。 逆に、灯がひとつもつかない会社が安全という意味でもありません(このツールは4つの角度しか見ていません)。 判定は「決算短信の売上の内訳と、会社予想の前提を自分で読み直す合図」として使ってください。 売買や個別銘柄の推奨ではありません。